Le Cosmicomiche
どのような能天気な話しから、書き始めようか?友人たちの薦めで興味を抱き始めたItalo Calvinoだったが、すでにすっかりその魅力に取り憑かれている。...
View ArticleLittle Blue and Little Yellow
藤田 圭雄の日本語訳『あおくんときいろちゃん』が出ている。 副題に"a story for Pippo and Annand other children"とあるように、遊びに来た子供たちにLeo Lionniが色紙をちぎって即興でおはなしをつくってあそんだものが、もとになっていると聞く。Little Blue and Little...
View Articleいちまいの絵
図像学多分『ダヴィンチ・コード』やウンベルト・エコが流行らなければ、もっと叩きのめされ尽くしている「学」なのかも知れない。地質学を曲がりなりにも学んでいたからかも知れないが、絵や形を読むことに興味を抱いていた。もともと地層と言う物の形から、何事かを論理的に読み解く、そんな性質を、地質学は持っている。だが、ボッシュやブリューゲル、或いはティツィアーノが描いている絵の意味を読み解く事を試みて見ると、殆ど...
View Article『もんしぇん』から『もんしぇん』への旅
『もんしぇん』という映画に、2006夏、出会った。そして2007早春、再び会いに行く。窓の外には雪が、間断なく降り続いている。この文章は夏の記録。今回はどのような出会いとなるか?ひとりで子供を産む事を決めた「はる」という若い女が、自分の土人形を自分で作っている。そのシーンから映画が始まる。その人形は初老の男によって祈りと共に丁寧に沈められる。その「場所」には何人かの人々が、まるでわたしたちがこの世に...
View Article『曲亭馬琴 遺稿』の事
浅草寺北、三社神社の裏にある通路の脇には「筆塚」「机塚」が今も残っている。この塚を京山が造った経緯が描かれている。山東京伝ならば知っている。即座に幾つか作品の名を挙げることもできる。けれど京山は別だ。山東京伝の弟。それ以外知識が無い。いや、作品を知らない訳ではなかった。鈴木牧之の『北越雪譜』。これは京山の筆によるものだ。この作品は雪の季節必ずといって良いほど手にする。手にするたびにその序に京山の名が...
View Article謎な現象
最近中井久夫を中心にして精神医学・心理学関係の本を読んでいる。専門家の方々は中井久夫をどの様に評価なされているのかは知らない。だが、文学的香りが高い文章だと思う。興味がそそられて、エセーなども入手したのだが、観察眼の鋭さが際立つ。阪神大震災以来、日本でPTSDという言葉が一般化されたが、中井久夫の報告がこの用語を広めた大きなきっかけにはなっていると思う。ところで、心理学関係の本を読み始めたせいか謎な...
View Article今迄どうやって訳していたのか分からない
NHKのテレビ外国語会話が今年度から「テレビで~会話」という名前になり、時間帯も少し変わった。この「少し」がわたしには大変な事件だった。力を入れていたフランス語とドイツ語が連続して放送されることになってしまった。今迄は放送の直前にちょこちょこっと眼を通して番組を眺めていると、それだけで何と無く語学の勉強になっているのでは…?という雰囲気や自己満足に浸ることが出来たが、直前の勉強がしにくくなった。心を...
View Article思いがけない「人生を変えた」本
この本がなかったら生き方が変わっただろう。そう思える本は幾つかある。大抵は香り高い雰囲気を放っており、誰彼構わずそれを推薦したくなり、読んだ事が半ば誇らしくも思える本たちだ。多分、それに匹敵する。だが、今回は恥ずかしくてなかなか披露出来なかった。その筋では有名な本らしい。わたしに余り縁がないベストセラーでもあるらしい。文章も美しくなく、訳もそれ程良くはない。アレン・カー『禁煙セラピー』。それがその本...
View Article『夢酔独言』─勝夢酔
東京に住んでいた時分、「江戸」に興味を持った事がある。何しろ至る所、近所のそこここに書物の中の地名がある。そして書かれている情景とは、当たり前の事だが、すっかり変わってしまっている。その違いを感じる のも面白いもので、かなり歴史史料を漁った。殆どが漢文で書かれている。これには手を焼いた。中には木版のものもあった。手を焼いたどころではなかった。日本語で書かれているのに読めないのだ。仮...
View Article風と共に去りぬ
何も見るべきTVがないので、仕方なしに録画してあったこの映画を女房殿と一緒に見始めた。すぐにぐいぐいと引き込まれ、食い入るように映画を観ていた。正直、こんなに凄い映画だとは思っていなかった。名画である事は勿論意識していた。だから録画したのだ。だが、観るのはもっと後、ひとりで観ることになると思っていた。長編映画なので、もっとゆっくりしたテンポで話しが進むものと考えていたが、それはあっさりと裏切られた。...
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